(シリーズ お金には始まりがあった)― 2/3

2020年10月13日火曜日

知恵の実

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 【今までの貨幣制度の考え方が覆る?】






お金の起源、過去から現在までのお金の歴史


タケルは、お金がもっとあれば良いのにといつも思っていた。

お金について調べているうちに新しい説があるのに気づいた。


貨幣=お金じゃないの?新貨幣論って何?


今まで、「物々交換」から「物品交換」を経て、貴重な物、珍しいものを信用して広く用いるようになり、やがて金銀などを共通に用いる「貨幣制度」が始まった。これが今までの説でしたが、21世紀に入り経済学者の間では、「物々交換や物品交換の発展形として貨幣制度・通貨制度が作られた訳ではない!」という説「新貨幣論」が浮上してきました。



この「新貨幣論」について、先行する実証研究も含め、平易に説明している代表的な参考文献として、フェリックス・マーティン著「21世紀の貨幣論」東洋経済社(2014年)があります。


では「21世紀の貨幣論」のポイントを引用しながら、貨幣の起源に関する新説をご紹介しましょう。



まず「新貨幣論」では、貨幣制度はどうやって始まったと考えられているのでしょうか。


「『人々の取引は債権(請求)と債務(支払い)から成り立つ』という考え方は貨幣制度が導入される前からあった」というのがその「新しい説」の根底にあります。



具体的にいいますと、ミクロネシアのヤップ島にある「フェイ」という大きな石や、メソポタミア文明における「トークン(円錐や球あるいは円盤状をした小さな粘土塊)」を使用して、人々は取引内容を「記帳」し生活を営んでいた、という形跡を発見したのです。



ヤップ島のフェイは直径が30cmから1mに及ぶものもあり、貨幣のように取引のたびに受け渡しするのではありませんでした。

太平洋に進出してきた西洋人が大きな石でできた「貨幣」だと、間違って認識したのです。


実際には冠婚葬祭などの贈答品や取引で差額が発生した場合にのみ「所有権」が移転していたようです。


ですから、大きな石は、移動はしないけど所有者は変わった。と言う事です。


普段の取引内容は「記帳」により履歴や残価などを管理していました。


(記帳には「フェイに直接刻んだ」説と「他の帳簿替わりのものに記帳した」説があります。)



同様に、メソポタミア文明の「トークン」について、1970年代、考古学者のデニス・シュマント=ベッセラは、各トークンは穀物や家畜を表しており、それを数えることで財産を記録したとしています。


さらに取引のたびにトークンを管理棚から管理棚へと移動させれば入出庫管理ができ、棚にあるトークンを数えれば在庫計算や管理ができたというのです。



つまり、「物々交換」「物品交換」が行われていた確実な形跡はないとしたうえで、一定の債権・債務の仕組みは、貨幣制度が始まる前から存在しており、もっと広く交易を発展させるために貨幣制度を導入した、というのが「新貨幣論」なのです。



この考え方のもとでは、貨幣はあくまでも、債権・債務の取引やその根拠となる信用取引を具現化したものに過ぎない、ということになります。



こういう風に考えて行くと、これから先の経済のあり方も考え直さなければならない気がします。


ではまた。


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