中田敦彦のYouTube大学より 「【ペスト】〜ロックダウンされた街〜」

2020年5月1日金曜日

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書籍「ペスト」


この作品は、ペストにより封鎖された街で、伝染病の恐ろしさや人間性を脅かす不条理と闘う医師や市民の様子を描いています

ある朝、アルジェリアのオラン市で、医師のベルナール・リウーは複数のネズミの死体を発見する 次いで、原因不明の熱病者が続出し病院に担ぎ込まれる。ペストが発生したのだ オラン市はロックダウン(閉鎖)され、外部との往き来が出来なくなる 閉鎖的な孤立状態の中で、医師リウーや彼を手助けするタル―、そして新聞記者ランベールなどを中心に、目に見えないペストという「不条理」との闘いに挑む

カミュはペストの本質を「その語の深い意味において、追放と別離とであったことを物語っていたのである」と書いています ペストは人々を平穏な社会から追放し、愛する人から別れさせるという意味でしょう

この小説を読んで、一番強く感じたのは、医師リウーやタルー、そして一刻も早く市外に脱出して恋人と会いたかったが、リウーらの獅子奮迅の活躍を見て考え方を変え、リウーを助けることになった新聞記者ランベールら、広い意味での医療関係者の責任感の強さと患者に対する献身的な治療行為です

現在における 新型コロナウイルス感染拡大阻止の闘いで、医療器具が足りないとか、医療従事者の皆さんがウイルスに感染したというニュースを見るたびに心が痛みます   日本はもちろんのこと、昨日の朝日夕刊によると、アメリカでは新型コロナウイルスの感染が確認された医療従事者が9200人以上に上ることが分かったといいます 昨夜、安倍首相は緊急事態宣言を全国に広げることを宣言しましたが、われわれ一般市民が出来ることは、自分がウイルスに感染しないこと、他人に感染させないこと、それによって医療関係者の皆さんの負担を増やさないようにして、医療崩壊を起こさないことだと思います

この作品は、ペストが収束し 街中が解放感に満ちてお祭り騒ぎになる中、次のように物語を閉じます

「市中から立ち上る嘉悦の叫びに耳を傾けながら、リウーはこの嘉悦が常に脅かされていることを思い出していた なぜなら、彼はこの歓喜する群衆の知らないでいることを知っており、そして書物のなかに読まれうることを知っていたからである・・・ペスト菌は決して死ぬことも消滅することもないものであり、数十年の間、家具や下着類のなかに眠りつつ生存することができ、部屋や穴倉やトランクやハンカチや反古のなかに、しんぼう強く待ち続けていて、そしておそらくはいつか、人間に不幸と教訓をもたらすために、ペストが再びその鼠どもを呼びさまし、どこかの幸福な都市に彼らを死なせに差し向ける日が来るであろうということを」

この警鐘は新型コロナウイルスにも通用するものだと思います 幸か不幸か、世界はまだ その段階まで達していません しかし、いつの日か感染拡大が収束し、緊急事態宣言が解除される時、私たちはカミュの言葉を思い出すべきでしょう。



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